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妊娠高血圧症候群とは、その名のとおり妊娠時に高血圧を発症することを指します。以前は「妊娠中毒症」と呼ばれており、そのほうがピンとくる人も多いでしょう。日本産科婦人科学会の定義によると、妊娠20週以降に高血圧のみ認める場合は「妊娠高血圧症」、高血圧と蛋白尿を認める場合は「妊娠高血圧腎症」と分類されます。 この病気は妊婦さん10人に1人、約10%の割合で起こると考えられています。特に妊娠34週未満で発症する早発型の場合は重症化しやすく、さまざまな合併症のリスクが高まります。
以下に妊娠高血圧症候群の主な合併症を紹介します。
子癇は妊娠高血圧腎症をきたした妊婦さんに起こるけいれん発作で、脳腫瘍やてんかん、薬物中毒など明らかな原因がないものをいいます。けいれんが治まらないと赤ちゃんだけではなく妊婦さんの生命にもかかわるため、速やかな治療が必要です。
特に妊娠後期は循環血液量が増えるので、そこに妊娠高血圧症候群の症状が加わると脳出血のリスクが高くなります。決して発症するケースが多いわけではありませんが、発症すると死亡率も高く、身体に障害が残る可能性も高いので注意が必要です。
妊娠後期から出産後に起こりやすい病気で、赤血球の破壊や肝臓の機能低下、血小板の減少をきたします。みぞおちが急に痛んだり、吐き気を催したりといった症状が出るため、胃炎などと間違えられることもあります。診断が遅れるとさまざまな臓器がダメージを受け、場合によっては生命にかかわります。
妊娠高血圧症候群は長年にわたって精力的な研究が続けられていますが、確かな原因はわかっていません。近年の研究では、お腹の赤ちゃんに酸素や栄養を送る胎盤が異常をきたし、そこでつくられたさまざまな物質が母体の全身の血管に悪影響を及ぼし、妊娠高血圧症候群を起こすのではないかと考えられています。
このほか、以下に該当する妊婦さんは妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高いと考えられています。
妊娠高血圧症候群を発症すると、妊婦さん、お腹の赤ちゃんの両方とも非常に危険な状態に陥る可能性があります。具体的には以下のような状態が起こりやすくなり、これらも妊娠高血圧症候群の合併症といえます。
まだ赤ちゃんが生まれていないのに胎盤がはがれてしまう病気で、発症率は0.5~1.3%ですが妊娠高血圧症候群に伴って起こるケースが多いとされています。胎盤が大きくはがれると出血性ショックを起こし、場合によっては出産後に子宮を取らなければなりません。
妊婦さんの死亡率は5~10%、赤ちゃんの死亡率は30~50%と高く、発症を予知することも困難という恐ろしい病気です。
妊娠高血圧症候群が重症化すると子宮や胎盤の血流が悪化し、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かなくなることがあります。そうなると赤ちゃんがしっかり成長できず、体重が少ないまま生まれてしまうかもしれません。
上記と同じく、酸素が足りないと赤ちゃんの心拍に異常が起こりやすくなります。そうなると、できるだけ早く赤ちゃんをお腹から取り出さなければなりません。おそらく帝王切開が必要になるでしょう。最悪の場合、赤ちゃんがお腹の中で亡くなってしまうこともあります。
前述の妊娠高血圧症候群がもたらす合併症と脳性麻痺との関連は広く知られています。軽症であれば影響は少ないと思われますが、特に早発型の妊娠高血圧腎症は早産を誘発するため、脳性麻痺の発症リスクを高める可能性があります。
日本には、脳性麻痺の原因分析や家族への経済的補償、医療紛争の防止を目的とした「産科医療補償制度」があります。その原因分析委員会の報告によると、合併症を起こした妊娠高血圧症候群で脳性麻痺を発症した45例のうち常位胎盤早期剥離の合併例は60%に上り、脳性麻痺の大きな要因になっていると考えられます。
参照元:【PDF】公益財団法人 日本医療機能評価機構
再発防止に関する報告書「妊娠高血圧症候群について」
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/theme/pdf/Saihatsu_Report_05_80_117.pdf
残念ながら、妊娠高血圧症候群を根本的に治療する方法はまだ確立されていません。まずは安静が大切ですが、けいれん予防や血圧低下のために薬を使用することもありますが、急激に血圧を下げると赤ちゃんに悪影響が出るおそれがあるため慎重な使用が必要です。
症状が重く、このまま妊娠を続けることがお母さんにとってもお腹の赤ちゃんにとっても危険だと判断されれば、たとえ早産であっても赤ちゃんを取り出します。つまり、出産がいちばんの治療だということです。ほとんどのケースでは、出産後のお母さんの症状は急速に改善します。ただし、重症化していた場合は出産後も高血圧や蛋白尿が改善せず、経過観察を要することがあります。
脳性麻痺の発症には様々なリスク要因が複雑に関わっており、医療過誤(医療ミス)によるものも、残念ながら少なからず含まれています。妊婦さんにリスク要因があった場合でも、「やるべき対応をしなかった」ときは、病院側の責任を問うことが可能です。
迷ったら、まずは医療過誤に精通した弁護士に相談することをお勧めします。
参考文献 |
【PDF】公益財団法人 日本医療機能評価機構 【PDF】産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2020 『脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連−最新の知見』 |
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