MENU
弁護士/医学博士監修 産科医療過誤 解決への安心読本 「脳性麻痺」 » 新生児・赤ちゃんの脳性麻痺について » 分類と重症度

分類と重症度

脳性麻痺とは

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間から生後4週までに発生する、脳へのダメージによって引き起こされる運動機能障害を脳性麻痺といいます。主な原因として感染や低酸素、脳血管障害、核黄疸などが考えられますが、原因がわからない場合も少なくありません。

診断を行なう際は問診や赤ちゃんの状態、脳のMRI画像などを参考にしますが、さらに精密な検査が必要な場合もあります。だんだん症状が悪化する進行性疾患や一時的な運動機能障害、将来的な正常化が予想できる場合などは脳性麻痺に該当しません。

残念ながら、現代の医療をもってしても脳性麻痺を完全に治すことはできません。ただ、リハビリテーションや薬物療法を受けることで日常生活面での改善は期待できます。

脳性麻痺のタイプ・分類

ひと言で脳性麻痺といっても、実はさまざまなタイプがあります。以下に症状による分類、発症時期による分類を挙げていきます。

症状による分類(筋肉の緊張のタイプによる分類)

アテトーゼ型

自分の意思とは無関係に身体を大きくよじるような動きがみられます(不随意運動)。首を無理矢理曲げたり回したりすることで頚椎症を起こすこともあります。

失調型

筋肉の動きを上手にコントロールできず、細かい震えなどの症状がみられます。平衡感覚も低下するため、自分で歩けたとしても不安定で転倒しやすくなります。

痙直型

筋肉の緊張が強く、他人が手足の関節を曲げようとしても抵抗があります。症状がある手足は発育が悪くなり、筋力そのものも低下します。

固縮型

筋肉の緊張が常に持続し、関節も歯車のように硬くぎくしゃくした動きになります。痙直型と同じく、他人が関節を曲げようとしても強い抵抗がみられます。

低緊張型

全身の筋肉の緊張が弱くて運動性に乏しく、ぐにゃぐにゃした状態になります。

混合型

上記のタイプがいくつか混ざり合った状態で、多いのはアテトーゼ型と痙直型の組み合わせです。

発症時期による分類

出生前

弁護士法人ALG&Associates

赤ちゃんがお腹の中にいるうちに発症した脳性麻痺で、原因としては胎内感染や母体の低栄養、薬物の影響、赤ちゃんの脳形成異常などが考えられます。

周生期

出産直前や出産直後に発症した脳性麻痺で、原因としては低酸素や脳出血、外傷、感染症などが考えられます。

後天性

赤ちゃんが生まれた後に発症した脳性麻痺で、原因としては髄膜炎や脳出血、外傷や窒息などの不慮の事故、感染症、核黄疸などが考えられます。

脳性麻痺の症状

前述のとおり、脳性麻痺はタイプによって症状が異なりますが、他にも以下のような症状がよくみられます。

ただ、生後3か月以内の赤ちゃんは重症でない限り症状がわかりにくいと思われます。成長に伴って少しずつ運動発達の遅れなどが目立ってくるでしょう。

合併症状について

上記のほか、脳性麻痺では以下のような症状を合併するケースがよくみられます。

てんかん

脳性麻痺の約40%(※)に何らかのけいれん発作がみられます。

参照元:【PDF】公益財団法人日本医療機能評価機構
脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査報告書(平成30年10月)
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/report/pdf/nouseimahijinojittaihaakunikansuruekigakuchousahoukokusyo.pdf

精神遅滞

運動麻痺が広い範囲でみられると、精神遅滞の合併率も高くなります。自閉症スペクトラム障害や学習障害を合併するケースもあります。

視覚障害・聴覚障害

斜視や眼振(眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすること)がみられることがあります。また、胎内感染による脳性麻痺では難聴や白内障を合併するケースが多いとされます。

摂食障害・嚥下障害

噛む力や飲み込む力が弱く、誤嚥(食べ物などが気管に入ってしまうこと)を起こすこともあります。症状が重い場合は、栄養状態の改善や肺炎の防止のために経管栄養が必要です。

その他

睡眠障害や成長障害、思春期早発症などを合併する場合があります。

症状による重症度

脳性麻痺は運動麻痺の症状の出方によっても重症度が異なります。

前述のタイプのうち失調型、固縮型は四肢麻痺、痙直型は片麻痺、対麻痺、両麻痺、四肢麻痺などが該当します。

参考文献

【PDF】公益財団法人日本医療機能評価機構
脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査報告書(平成30年10月)
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/report/pdf/nouseimahijinojittaihaakunikansuruekigakuchousahoukokusyo.pdf

神奈川県立こども医療センター公式サイト「脳性麻痺」
  https://kcmc.kanagawa-pho.jp/diseases/nou.html

【PDF】大阪府「一般整形外科医を対象とした - 脳性麻痺患者診療マニュアル」
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1202/00014566/1nouseimahi.pdf

『脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連−最新の知見』
編集:松田 義雄・佐藤 昌司・ 藤森 敬也 メジカルビュー社(2021年7月29日)

「顧客感動」を目指し、日々尽力する弁護士集団

弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

監修弁護士よりメッセージ

監修弁護士から伝えたいこと

先が見えず、いま不安な状況にあるご家族を
おひとりでも多く救済したい

金﨑 浩之 弁護士
監修
弁護士法人ALG&Associates
金﨑 浩之 弁護士

私たちの仕事は、患者さん側の代理人として「患者さん側が勝つべき事件を、いかにして勝ち取っていくか」が大事なのです。医学への高い専門性と医療過誤事件に関わる多くの解決実績を持つ弁護士法人ALGの医療過誤チームが、おひとりでも多くの方を救済できるよう尽力しています。

目次