MENU
弁護士/医学博士監修 産科医療過誤 解決への安心読本 「脳性麻痺」 » 該当する項目はありますか? 脳性麻痺と関連がある分娩時のリスク要因 » 臍帯トラブル

臍帯トラブル

臍帯トラブルの症状と治療

臍帯(さいたい)、いわゆる「へその緒」は、赤ちゃんに必要な栄養や酸素を含んだ血液を送り届ける大切なライフラインです。臍帯は赤ちゃんがお腹の中で動き回れるように細く長いのが特徴ですが、そのせいでさまざまなトラブルを引き起こす場合があります。

まずは臍帯トラブルの種類ごとに症状や治療について説明しましょう。

臍帯脱出

破水した後、赤ちゃんより先に臍帯が降りてくることを臍帯脱出といいます。そうなると陣痛時に赤ちゃんの身体と骨盤の間で臍帯が圧迫され、血流が途絶えてしまう可能性があります。

臍帯脱出は非常に危険で緊急を要するため、通常分娩での速やかな出産が困難なら緊急帝王切開を行ないます。

臍帯巻絡(さいたいけんらく)

臍帯が赤ちゃんの身体のどこかに巻きついてしまった状態を臍帯巻絡といいます。赤ちゃんが動くときに臍帯を絡めながら回転することがあり、身体のどこかに臍帯が巻きついてしまいます。特に多いのは首です。

絡まった臍帯を外からほどいてあげることはできないので、赤ちゃんの心音に異常があれば母体に酸素を投与し、できるだけ赤ちゃんに届くようにします。緊急を要する場合は帝王切開を行なうこともあります。

臍帯結節(さいたいけっせつ)

臍帯に結び目ができてしまった状態を臍帯結節といいます。赤ちゃんが臍帯を玉結びするように動いてしまうのが主な原因で、血流が悪くなって生命にかかわるおそれもあります。

臍帯巻絡と同じく結び目をほどいてあげることはできないので、赤ちゃんの心音に異常があれば母体に酸素を投与し、できるだけ赤ちゃんに届くようにします。緊急を要する場合は帝王切開を行なうこともあります。

臍帯付着部異常

臍帯は胎盤の真ん中あたりについているのが正常ですが、胎盤の端っこギリギリのところについたり(辺縁付着)、胎盤から完全に外れて卵膜についたり(卵膜付着)することを総称して臍帯付着部異常といいます。

辺縁付着はそれほど問題視されませんが、卵膜付着は赤ちゃんの発育不良や早産、心拍の異常、新生児死亡、胎盤早期剥離などと関連性があることが以前から報告されています。しかし、中にはまったく問題が起こらないケースもあります。

臍帯過捻転

臍帯には弾力やらせん構造が備わっており、通常の動きでは折れたりねじれたりしませんし、もちろん潰れたりすることもありません。赤ちゃんに酸素と栄養を送り届ける血流を守るために、外からの力に影響されにくいつくりになっているのです。

その許容範囲を超えて臍帯がねじれてしまうことを臍帯過捻転といいます。そうなると赤ちゃんの発育不良の可能性だけではなく、最悪の場合は死産、新生児仮死などにもつながります。しかし、赤ちゃんにまったく影響を及ぼさないケースもあるため、臍帯過捻転に対する診断意義や管理方針に一定の見解が存在しないのが現状です。

臍帯トラブルと脳性麻痺との関連性

脳性麻痺の原因は明らかになっていない部分が多いのですが、広く知られている原因でいえば出生前後の低酸素がもたらす脳の障害が挙げられます。特に分娩中の低酸素は赤ちゃんの心拍数や子宮の収縮の状況と深く関連しており、臍帯トラブルがその異常をもたらすことが多くあります。

実際、臍帯トラブルが原因と考えられる脳性麻痺において、その臍帯血動脈を調べると重度の低酸素に陥っていたことがわかっています。

臍帯トラブルによる脳性麻痺を防ぐには

まず、臍帯トラブルそのものを未然に防ぐことはできません。臍帯トラブルを起こしやすい人という定義・傾向もないので、妊婦さんなら誰にでも起こり得ると考えるしかないのです。

一方、産婦人科医が妊娠・分娩の管理を行なう上でお腹の赤ちゃんと臍帯の状況を把握するには、超音波検査と胎児心拍数陣痛図(CTG)しかありません。少なくとも分娩時の臍帯トラブルによる赤ちゃんの異常に速やかに対応できるように、超音波検査による臍帯トラブルの有無をあらかじめ確認しておくこと、その結果に基づく妊娠・分娩の管理は求められるでしょう。

たとえば、臍帯脱出が起こると脳性麻痺を発症するリスクが高まるため、できるだけ臍帯脱出を起こさないようにすること、具体的には臍帯が下がっている(臍帯下垂)時点で発見することが大切です。破水する前の臍帯下垂の状態で発見できれば、脳性麻痺のリスクを大幅に軽減できます。経腟超音波検査を行なって臍帯の位置をしっかり確認することも重要になってくるでしょう。

医療過誤(医療ミス)の疑いを持ったら…

脳性麻痺の発症には様々なリスク要因が複雑に関わっており、医療過誤(医療ミス)によるものも、残念ながら少なからず含まれています。妊婦さんや赤ちゃん側にリスク要因があった場合でも、「やるべき対応をしなかった」ときは、病院側の責任を問うことが可能です。
迷ったら、まずは医療過誤に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

参考文献

【PDF】産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2020
公益社団法人 日本産科婦人科学会/公益社団法人 日本産婦人科医会
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf

『脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連−最新の知見』
編集:松田 義雄・佐藤 昌司・ 藤森 敬也
メジカルビュー社(2021年7月29日)

「顧客感動」を目指し、日々尽力する弁護士集団

弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

監修弁護士よりメッセージ

監修弁護士から伝えたいこと

先が見えず、いま不安な状況にあるご家族を
おひとりでも多く救済したい

金﨑 浩之 弁護士
監修
弁護士法人ALG&Associates
金﨑 浩之 弁護士

私たちの仕事は、患者さん側の代理人として「患者さん側が勝つべき事件を、いかにして勝ち取っていくか」が大事なのです。医学への高い専門性と医療過誤事件に関わる多くの解決実績を持つ弁護士法人ALGの医療過誤チームが、おひとりでも多くの方を救済できるよう尽力しています。

目次