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まだお腹に赤ちゃんがいるのに、胎盤が正常な位置からはがれてしまうことを常位胎盤早期剥離といいます。
主な症状として下腹部の痛みや出血、お腹の張り、腹筋の緊張、繰り返す子宮収縮などが挙げられ、切迫早産や前駆陣痛の症状と似ているところもあります。出産時のように痛みの波があるわけではなく、同じ痛みが続くことが多いようですが、中には突然の激痛で発症するケースもみられます。いずれにしても、何らかの症状がある場合は常位胎盤早期剥離の可能性について調べなければなりません。
常位胎盤早期剥離の明らかな原因として挙げられるのは、お腹への強い衝撃です。転倒や交通事故などで強い衝撃をお腹に受けると、胎盤が耐えきれずにはがれてしまうことがあります。
これ以外の原因については、まだはっきりわかっていません。ただ、以下に該当する妊婦さんは常位胎盤早期剥離を起こしやすいと考えられています。
常位胎盤早期剥離を起こすと赤ちゃんに栄養や酸素が届かなくなるだけではなく、胎盤がはがれることで大量出血を起こすこともあるため、母子とも生命にかかわります。 具体的なデータを挙げると、常位胎盤早期剥離による赤ちゃんの死亡率は実に25~30%にも上ります。死産、早期新生児死亡(生後1週間以内の死亡)も含む亡くなったすべての赤ちゃんについて、その20%、5人に1人が常位胎盤早期剥離といえばその怖さがご理解いただけると思います。
一方、お母さんの死亡率も高く、大量出血による母体の死亡のうち11%が常位胎盤早期剥離によるものだとされています。
参照元:【PDF】公益財団法人 日本医療機能評価機構
再発防止に関する報告書「常位胎盤早期剥離について」(2009年~2013年の数値)
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/theme/pdf/Saihatsu_Report_06_50_81.pdf
常位胎盤早期剥離による生命の危険を乗り越えたとしても、胎盤から栄養と酸素が届かなかったことで赤ちゃんに障害が残ってしまうことがあります。事実、生存した赤ちゃんの15~20%に何らかの障害が認められるという報告があるほか、重い脳性麻痺の約30%は常位胎盤早期剥離が原因だとも考えられています。これは、常位胎盤早期剥離の主な原因として特定されている病気の中でも高い数字です。
このほか、生後間もないうちに脳室内出血を起こすことも多く、精神発達遅滞やてんかんなどがみられるケースも珍しくありません。
参照元:【PDF】公益財団法人 日本医療機能評価機構
再発防止に関する報告書「常位胎盤早期剥離について」(2009年~2013年の数値)
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/documents/prevention/theme/pdf/Saihatsu_Report_06_50_81.pdf
とにかく一刻も早く赤ちゃんを母体から取り出すこと、それが常位胎盤早期剥離の最大の治療法です。
特に赤ちゃんの脈が遅くなっているなど危険な状態の場合は、早く出産するほど後遺症が残らず、生存率も高いといわれています。もし陣痛がみられなければ、緊急帝王切開を行うことも多くあります。しかし、すでに大量出血を起こしている場合は帝王切開に母体が耐えられず、生命にかかわることもあります。そうなると止血剤や血栓予防薬の投与、緊急輸血などを行なって母体を回復させることを最優先とします。
もし常位胎盤早期剥離だと正確に診断できなくても、腹痛が持続するなど疑わしい症状があれば入院し、分娩監視装置を用いて赤ちゃんの心拍を慎重に観察します。
赤ちゃんが危険な状態でも後遺症なく生存することを「インタクトサバイバル」といい、これは新生児医療における最大の目標ともいえることです。
常位胎盤早期剥離の場合、このインタクトサバイバルを目指せるのは発症から1時間以内とされています。発症から2~3時間が経過してしまうと母子ともに生命の危険にさらされるため、可能な限り手術前の検査を省略して帝王切開に臨みます。
残念ながら、常位胎盤早期剥離には科学的根拠のある予防法がありません。ただ、原因にも挙げたように以前にも常位胎盤早期剥離を起こしたことや、高齢での妊娠などがリスクを高めるといわれています。
欧米での検証によると、喫煙の影響は地域差が大きいとされています。とはいえ、少しでもリスクを低くするために、妊娠中の人は今すぐ禁煙すべきです。禁煙は妊婦さんが自分の意思だけで実行できる唯一の予防法ともいえます。受動喫煙の可能性を考慮して、ご家族の方々も一緒に禁煙しましょう。
もともと高血圧の持病がある人や、妊娠してから血圧が上がった人も要注意です。担当医と相談し、厳密な血圧管理を受けてください。
脳性麻痺の発症には様々なリスク要因が複雑に関わっており、医療過誤(医療ミス)によるものも、残念ながら少なからず含まれています。妊婦さんや赤ちゃん側にリスク要因があった場合でも、「やるべき対応をしなかった」ときは、病院側の責任を問うことが可能です。
迷ったら、まずは医療過誤に精通した弁護士に相談することをお勧めします。
参考文献 |
【PDF】公益財団法人 日本医療機能評価機構 【PDF】産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2020 『脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連−最新の知見』 |
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