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医事紛争処理委員会とは

ここでは、医事紛争処理委員会について紹介しています。委員会設立の目的や活動内容、ADRとの違い、問題点などをまとめましたので、参考にしてみてください。

医事紛争処理委員会とは?

委員会の目的と構成

医事紛争処理委員会は、医師会会員の医事紛争を処理する目的で設置された民間の支援機構です。会員は、医学界・法曹界・一般の有識者から構成されており、会員の医師から医療事故の報告を受けた際、当該医事紛争を適切に処理すべく支援を行っています。

設立の趣旨は、あくまでも医師会会員向けの医事紛争処理支援であり、医療事故に直面した患者側の救済をその主な目的とはしていません。医療事故を起こした医師をサポートするのが同委員会の主な役割です。

委員会の活動内容

医事紛争処理委員会の活動内容は、会員(医師)から事故報告があった際の紛争処理支援です。支援のパターンには、当該医療事故が日本医師会の医師賠償責任保険の対象になる場合と、そうでない場合の2種類があります。保険の対象となる事案では、保険の手続きに沿って日本医師会に事案を付託し、状況によっては弁護士を選任して患者側と交渉を行います。

一方、日本医師会の保険の対象とならない事案では、保険の手続きなしで、患者側と交渉を行い、必要に応じて弁護士を選任して対応する仕組みです。

 

医療ADRとの違い

裁判外の医事紛争処理解決手続きでは、医療ADRもよく知られています。ADRと医事紛争処理委員会は似ていますが、両者はそれぞれ違うものです。

一番の違いは、医療ADRは医療事故に関する患者側からの直接的な申立て権を認めていますが、医事紛争処理委員会は基本的には医師会会員をサポートするための機関として存在しています。現実には、患者側からの申立てを医師から申立てを受けた形にして処理にあたるケースも多々ありますが、基本的には患者側からの直接的な申立ては受け付けていません。

また、医療ADRは審査における公平性や透明性が確保されているのに対し、医事紛争処理委員会はその点が十分でないとの声も上がっています。

以上、医療ADRと医事紛争処理委員会は、患者側からの直接的な申立て権や公平性・透明性の有無といった点で違いがあります。

医療事故調査制度とは?

医療事故調査制度は、平成26年6月18日に成立した医療法の改正に伴って創設された制度です。民間の第三者機関である「医療事故調査・支援センター」を中心に運営され、医療事故が発生した場合、速やかに情報収集・分析を行い再発防止の実現をするために活動しています。制度の対象となるのは、国内の全ての医療施設です。規模の大小を問わず病院や診療所、助産所も含まれます。

制度の目的

医療事故調査制度の目的は、医療事故の再発防止です。病院側・患者側のいずれかに偏ることなく、あくまで公平中立な立場で医療の安全を確保するため事故の再発防止に努めています。医療法でも「第3章 医療の安全の確保」と位置付けられており、医師への不法行為責任や債務不履行責任など責任追及を目的とした活動は行っていません。

調査対象となる医療事故と調査の流れ

医療事故調査制度の対象となる医療事故は、「医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるもの)」と定められています。

換言すると、管理者が予期できなかったもののうち、医療に起因するか起因すると疑われる死亡又は死産が制度の対象です。

事故調査の流れは

となります。

医療事故調査・支援センターは事故の情報収集と分析から、医療事故の再発防止向けた普及啓発も行います。

以上、医療事故調査制度は、発生した医療事故に対する情報取集と原因分析を行い、医療事故の再発防止に努める民間の第三者機関による取り組みです。

参照元:厚生労働省|医療事故調査制度に関するQ&A(Q2)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061214.html

参照元:【PDF】日本弁護士連合会|医療事故 調査制度
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/iryoujikotyousa_pam.pdf

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