MENU
弁護士/医学博士監修 産科医療過誤 解決への安心読本 「脳性麻痺」 » 該当する項目はありますか? 脳性麻痺と関連がある分娩時のリスク要因 » GBS感染症(B群溶連菌感染症)

GBS感染症(B群溶連菌感染症)

GBS感染症(B群溶連菌感染症)とは

新生児の感染症における病原菌として、GBS(B群溶血性連鎖球菌)は感染頻度の高い細菌です。妊婦さんの約10~30%がGBSを保有しているといわれ、予防的な処置を行なわなければ50%の赤ちゃんにGBSに感染し、そのうち1%が発症するといわれています。

専門家の調査によると、早発型のGBS感染症では敗血症が73%、髄膜炎が26%を占め、死亡率は4.5%、後遺症が残る確率は髄膜炎を発症した赤ちゃんの30%にも上るようです。新生児医療が目覚ましく進歩した現在においても、GBS感染症は非常に怖い新生児感染症のひとつといえます。

GBS感染症の原因

GBSは膣や肛門、直腸内に存在する常在細菌の一種で、健康な女性が感染していても無症状の場合がほとんどです。しかし、出産時に赤ちゃんが産道を通ることで感染する可能性があります(母子垂直感染)。

先ほど「早発型」のデータをお伝えしましたが、これは生後7日以内に発症するタイプです。それ以降に発症するタイプを「遅発型」といい、お母さんの膣や腸などにいるGBSが手指や乳首、哺乳びんなどを介して感染することがあります。

GBS感染症と脳性麻痺との関連性

新生児の感染症では症状が急激に悪化することも多く、敗血症や髄膜炎を起こすと非常に危険です。特に新生児の髄膜炎は視覚や聴覚に障害が残ったり、脳性麻痺を起こしたりすることも多いとされます。髄膜炎では病原菌が脳の血流に入り込んでしまい、それによって脳細胞がダメージを受けるからです。

GBS感染症を回避するには

重要な予防法のひとつは、出産前に妊婦さんがGBSに感染しているかを調べることです。具体的には妊娠35週~37週頃に膣ぬぐい液などを採取し、培養検査を行ないます。もしGBSを保有していれば抗菌薬による治療を受けます。

現在では事前の検査によって早発型のGBS感染症は少なくなっており、新生児のGBS感染症の80%は遅発型となっているようです。遅発型を予防するには、お母さんの手指や乳首、哺乳びんなどの清潔を徹底することが第一です。

生まれた赤ちゃんに対しては、発熱や呼吸の異常だけではなく、元気がない、あまりお乳を飲まないなどの感染症を疑う徴候がないかを慎重に観察します。必要に応じて各種検査を行ない、症状が出た場合は速やかに治療を開始することが大切です。

医療過誤(医療ミス)の疑いを持ったら…

脳性麻痺の発症には様々なリスク要因が複雑に関わっており、医療過誤(医療ミス)によるものも、残念ながら少なからず含まれています。お母さんや赤ちゃん側にリスク要因があった場合でも、「やるべき対応をしなかった」ときは、病院側の責任を問うことが可能です。
迷ったら、まずは医療過誤に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

参考文献

【PDF】産婦人科 診療ガイドライン―産科編 2020
公益社団法人 日本産科婦人科学会/公益社団法人 日本産婦人科医会
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf

『脳性麻痺と周産期合併症/イベントとの関連−最新の知見』
編集:松田 義雄・佐藤 昌司・ 藤森 敬也
メジカルビュー社(2021年7月29日)

「顧客感動」を目指し、日々尽力する弁護士集団

弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

監修弁護士よりメッセージ

監修弁護士から伝えたいこと

先が見えず、いま不安な状況にあるご家族を
おひとりでも多く救済したい

金﨑 浩之 弁護士
監修
弁護士法人ALG&Associates
金﨑 浩之 弁護士

私たちの仕事は、患者さん側の代理人として「患者さん側が勝つべき事件を、いかにして勝ち取っていくか」が大事なのです。医学への高い専門性と医療過誤事件に関わる多くの解決実績を持つ弁護士法人ALGの医療過誤チームが、おひとりでも多くの方を救済できるよう尽力しています。

目次