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弁護士に相談してからの流れ

医療過誤の可能性がある場合における相談から解決までの流れについてまとめています。ただし、実際の流れはケースにより異なるため参考までにご覧ください。

まずは弁護士に相談

医療過誤の可能性がある場合には、まず弁護士に相談しましょう。

状況のヒアリング

まずは法律相談を効率的に行っていくために下記のような項目について電話やメールなどでヒアリングを行います

もちろん、ケースによっては上記以外の内容のヒアリングが行われる場合もありますので、相談を行う場合にはカルテや診断書、説明同意書、自身のメモなどの資料を手元に準備しておく、また状況を時系列でまとめておくとスムーズに話が進められるでしょう。

相談が進められるかどうかを判断

ヒアリングした内容をもとにして、弁護士により法律相談が受けられるかどうかの判断が行われます。その結果、相談を受けることが可能だと判断された場合には法律相談に進んでいくため、具体的な法律相談方法や日時の調整を行います。相談する事務所によって対面やWeb、電話といったように複数の相談方法に対応している場合もあります。

法律相談

弁護士に法律相談を行います。ここでの相談内容を踏まえた上で事件として受任が可能かどうかといった点が判断され、どのくらいの費用でどのような内容を受任できるのか、といった点についても提案が行われます。

ただし、初回の相談の時点で医療過誤であると断言できる事例は多くないとされています。そのため、まずは相談によって何が起こったのかという点を把握するところから始めていくことになるでしょう。その後、医療過誤の可能性がある相談の場合、損害賠償請求ができるか、勝算の有無などを知るために医療調査を行うケースが多くなっています。

医療調査

医療過誤の可能性があるケースにおいては、医療調査が非常に重要な要素となってきます。医療調査は、「事実調査」「医学調査」に加え、「法律的な検討」といった3つの要素から構成されています。

事実調査

まず、事実調査として相手方の医療機関などから資料の入手を行うことになります。この時に入手する資料としては、カルテやその他の医療記録が対象となりますが、任意開示または証拠保全の方法によって入手します。

医療過誤の調査を行う場合、カルテが非常に重要な証拠となります。現在は多くの医療機関で電子カルテが導入されているためにカルテの内容改ざんは極めて困難となっていますが、紙カルテを使用している医療機関の場合などカルテ改ざんや証拠隠滅の恐れがあると判断される場合には、裁判所に証拠保全の申立てを行います。申立てが認められると、弁護士の立ち会いのもとで裁判所による証拠保全が行われることになります。

医学調査

事実調査により入手した医療記録について精査を行い、医学的な調査を実施します。ここでは、ガイドラインや論文などの医学文献を参考にしたり、今回対象となる領域を専門としている医師に意見を求めるといったことが行われます。例えば複数の診療科目にまたがるようなケースでは、複数の医師に意見を求める場合もあります。

法的検討

損害賠償請求が認められるために必要なのは「過失(注意義務違反)」「損害」「因果関係」という3つの要素であり、いずれか1つでも欠けている場合には請求が認められない、ということになります。

ここまで行ってきた事実調査・医学調査の内容を踏まえて法的な検討を行い、法的請求が行えるかを判断します。請求が行えると判断された場合には、示談交渉や調停・ADR、訴訟といった提案を行います。

示談交渉

調査の内容を踏まえ、医療過誤の可能性が高い場合にはまずは示談交渉を行うのが通常の流れとなります。例えば、医療機関側の過失が明らかであり医療機関側も認めている場合や、賠償額がそれほど大きくない場合には医療機関側が示談に応じる可能性は低くはないとされています。このように、医療機関側が過失を認めていれば示談交渉を行うことにより早期の解決が期待できます

ただし、医療機関側が過失を認めていない場合や賠償額が大きい場合には合意が成立する可能性が低くなります。特に医療機関側が過失を認めていないという見解を明らかにしている場合には、示談に応じるという結果が通常期待できないことから、早期に見切りをつけて次の段階への移行を考える必要も出てきます。

調停・ADR、訴訟

もし示談交渉が成立しない場合には、調停やADR、訴訟といったように第三者が介在する手続きに進むことになります。

調停

調停では、裁判所が関与する中で患者側と医療機関側の話し合いが行われます。裁判所が関与するものの、調停はあくまでも「話し合い」となることから、もし患者側と医療機関側の意見に食い違いがある場合には妥結するのは困難であるといえます。

さらに、調停の場では調停委員が直接関与することになりますが、基本的に調停委員には医療知識がないため妥当な結論が得られることはあまり期待できないでしょう。調停が有効と考えられるのは、患者側と医療機関側の間である程度合意がなされており、金額を決める場合などです。こういったケースにおいては時間や費用の節約ができるため有効であると考えられますが、示談交渉が決裂しているケースにおいて調停はあまり活用の余地があるとはいえません。

ADR

ADR(代替的紛争解決手段)も基本的に「話し合い」ではあるものの、医療ADRの場合には医療訴訟の知識を持った弁護士が斡旋人となり、弁護士会の関与のもとで患者側と医療機関側の話し合いが行われることになります。

ただし、やはりこの場でも患者側と医療機関側の間で意見の食い違いがあるといったケースの場合、妥結は難しいといえるでしょう。

訴訟

上記の通り、示談交渉や調停、医療ADRを行ったにもかかわらず話し合いがまとまらない、医療機関側が過失を認めておらず患者側が納得できないといった状況の場合には、裁判によって解決を目指していくという流れになります。

調停やADRといった交渉を行い、双方の意見が食い違っている場合にはいつまでも結論が出ないままとなってしまいます。しかし訴訟まで進んだ場合には判決・和解いずれの場合でも1年半から2年ほどの時間が必要となるものの、必ず結論が出るといった点はメリットと考えることもできます。

また医療訴訟を行った場合、約半数が判決前に裁判所から和解を提示されることによって、判決を得る前に和解により終了しているといった面もあります。和解が成立しない場合には判決となりますが、その判決内容に納得ができない場合にはさらに訴訟が継続していくことになります。

解決

訴訟における判決で納得ができない場合には、控訴・上告を行うこともできます。医療裁判においては、もし患者側が勝訴した場合でも医療機関側が控訴する可能性は低くないため、和解ではなく判決となった場合には控訴審まで進む可能性がある、という点はあらかじめ認識しておく必要があります。

また、和解の道を選んだ場合には問題解決となり、控訴や上告に進む、ということはありません。さらに和解の場合には、医療機関側から患者側からの謝罪が盛り込まれるといったケースもあります。

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弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

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金﨑 浩之 弁護士
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金﨑 浩之 弁護士

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