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子宮収縮薬過剰使用の事例2

この事例は、本サイト取材協力・監修の弁護士法人ALG&Associatesが対応した解決事例です。

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  • 約1億4,200万円の賠償命令
  • 硬膜外麻酔
  • 陣痛促進剤の過剰投与
  • 遅発一過性徐脈の発生
  • 胎児機能不全のリスク
  • 帝王切開せず
  • 自発呼吸なし
  • 低酸素脳症
  • 体幹機能障害1級の身体障害
  • 注意義務違反

事例の要点と結果

分娩が進まずに痛みが強いことから、硬膜外麻酔(※1)を受けることになった妊婦さんの事例です。

硬膜外麻酔を行なうと陣痛が弱くなるため、陣痛促進剤の投与が開始されました。投与量は30分ごとに増やされており、効果を見ながら担当医の判断で投与量が調節されています。

翌日早朝より、分娩監視装置において胎児機能不全などを示唆する遅発一過性徐脈(※2)の発生が繰り返し認められます。担当医は帝王切開の必要性があることを理解しましたが、人員体制の問題から実施には至りませんでした。そのまま自然分娩で生まれてきた赤ちゃんは自発呼吸がなく、その後は状態が安定したものの発熱などの症状がみられました。

赤ちゃんは転院することになり、そこで低酸素脳症(※3)による脳性麻痺、体幹機能障害1級(※4)の身体障害者と認定されてしまったのです。

解決までの詳細

陣痛促進剤は、子宮の収縮を促して陣痛を起こす薬です。破水しても陣痛が起こらない、陣痛が弱くて出産が長引いているなど、赤ちゃんが早く生まれてきてほしいときに使用します。

ただし、陣痛促進剤の効果には個人差があります。効果が強すぎると副作用(※5)で過強陣痛を起こす可能性があり、もしそうなると子宮破裂や赤ちゃんが低酸素で弱ってしまう胎児機能不全のリスクも高まります。そのため、陣痛促進剤を投与する際は分娩監視装置で赤ちゃんの状態を確認しつつ、最初は少量から開始し、時間をかけて少しずつ投与量を増やしていく必要があります。

本事例では、陣痛促進剤の投与にあたって慎重さに欠け、帝王切開などが実施されなかった注意義務違反があるとして医療機関に損害賠償が請求されています。

まず裁判所は、陣痛促進剤の投与量が規定よりも多く、硬膜外麻酔を実施している際には投与量を増やすべきという医学的根拠も存在しないため、担当医の過失を指摘しました。また、分娩監視装置の記録においても帝王切開の必要性があると判断された時間の3時間前から遅発一過性徐脈が確認できるため、緊急帝王切開を行なわなかった過失も併せて指摘されています。

これらの過失と赤ちゃんが脳性麻痺による後遺障害を残したこととの因果関係が認められ、裁判所は医療機関に対して約1億4,200万円の賠償を命じました。

参照元:弁護士法人ALG&Associates公式サイト「医療過誤案件の解決事例」
https://www.avance-lg.com/customer_contents/iryou/sanka/hanrei/hanrei19/

※1 硬膜外麻酔
脊髄を覆っている硬膜の外側に麻酔薬を注射して痛みを感じさせないようにする、局所麻酔の一種です。

※2 遅発一過性徐脈
子宮の収縮に合わせて赤ちゃんの心拍数が緩やかに低下し、緩やかに回復していくことを指します。

※3 低酸素脳症
脳の血流低下や血液中の酸素不足によって、脳に何らかの障害が起こった状態を指します。窒息や心肺停止、著しい血圧低下などによって起こります。

※4 体幹機能障害1級
腰掛けや正座、横座り、あぐらのいずれの状態でも座っていることができない状態と定義されています。

※5 陣痛促進剤の副作用
代表的な副作用は本事例で取り上げている過強陣痛ですが、結果として胎児機能不全や子宮破裂など深刻な状態に陥る可能性があります。陣痛促進剤を使用する場合は分娩監視装置による正確な観察が欠かせません。

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弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

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