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この記事の参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構公式サイト「産科医療補償制度」
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/
出産時の医療事故は、たいていの場合は医療機関側の過失の有無を判断することが難しいため、必然的に裁判で争われるケースが多くなります。産科医不足は日本の医療における深刻な問題のひとつですが、原因としては産科が医事紛争の起こりやすい診療科であることも無関係ではないでしょう。いずれにしても、産科医療体制の確保は優先度の高い重要課題であることには変わりありません。このため、以前から産科医療の関係者によって無過失補償制度の創設が議論されてきました。
こうした流れを経て2009年に生まれた「産科医療補償制度」は、安心して産科医療を受けられる環境を構築するために公益財団法人日本医療機能評価機構が運営している公的な制度です。この制度に加入している病院や診療所、助産所で生まれた赤ちゃんが分娩の影響で重度の脳性麻痺を起こしてしまった場合、所定の基準を満たせば経済的な負担が速やかに補償されます。また、一方で脳性麻痺の発症原因を分析し、同様な事例の再発防止に役立つ情報の提供も行なっています。
産科医療補償制度を運営する日本医療機能評価機構によって、補償の対象となるケースと条件が定められています。具体的には、以下の基準をすべて満たしている場合に補償対象として認定され、規定の補償金が脳性麻痺となったお子さん本人とご家族に支払われます。
産科医療補償制度に加入している施設で2009年1月1日以降に生まれたお子さんのうち、以下の基準をすべて満たしていると補償の対象になります。ただし、生後6カ月未満で亡くなった場合は対象になりません。また、2014年12月31日までに生まれたお子さんの補償申請受付は終了しています。
(出産時にトラブルがなかったとしても、後になって以下の基準を満たした場合も補償の対象になる場合があります)
補償額は総額3,000万円です。内訳は一時金が600万円、分割金が2,400万円となっています。分割金は毎年120万円ずつが20年にわたって支払われます。
まず、出産する施設が産科医療補償制度に加入していることが大前提です。加入施設では制度のシンボルマークが掲示されているほか、制度を運営している日本医療機能評価機構のホームページでも調べられます。施設によって多少前後しますが、だいたい妊娠22週目頃に施設から制度の対象であることを示す「登録証」が交付されます。万が一補償金を請求することになった場合はそれが必要書類のひとつになるため、出産後も母子手帳と合わせて大切に保管しておきましょう。
実際に補償を受けることになった場合、必要な手続きは以下のとおりです。
申請できる期間は、脳性麻痺を正確に診断できる満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までです。ただし、診断が可能なら生後6カ月から申請できるケースもあります。
この制度は2022年に改定されており、その年に生まれたお子さんは2027年の誕生日が申請期限で、それを過ぎると申請できません。手続きには3~4カ月程度かかるため、対象になると思われるお子さんがいる場合は早めの手続きをおすすめします。
参考文献 | 公益財団法人 日本医療機能評価機構公式サイト「産科医療補償制度」 政府広報オンライン お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」 |
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