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積極損害と消極損害

医療過誤が発生した場合の損害賠償について解説。損害賠償の項目にはどのようなものがあるのかといった点や、「積極損害」「消極損害」について、また医療過誤における損害の算定方法などをまとめています。

医療過誤による損害賠償の項目

医療過誤が発生した場合、損害賠償の項目は「財産的損害」と「精神的損害」に分けて考えます。このうち「財産的損害」とは財産に関して生じた損害を指していますが、その特徴によってさらに「積極損害」と「消極損害」に区別されます

積極損害とは医療過誤が起こったことにより、治療費など患者が支払う必要が発生した費用を指します。消極損害とは、仕事の休業損害など、医療過誤が発生しなければ患者が得るはずだった利益を指しています。

「積極損害」「消極損害」「精神的損害」の3つが、医療過誤が発生した場合に医師や医療機関側に損害賠償を請求できる主な項目となります。

積極損害とは

「積極損害」とは医療過誤が起こってしまったことで患者が支払った費用に関する損害を指しています。さまざまな項目が考えられますが、主に下記のような項目があります。

もし病気の治療のために入院している中で医療過誤が発生した場合、その医療過誤によって発生した治療費などを確定する際には注意が必要です。例えば手術を受ける予定で入院していた方がおり、もともと受ける予定だった手術中に医療過誤が発生した場合の考え方としては、総入院期間から医療過誤がなかった場合でも入院する予定だった期間を差し引いた上で治療費などを算定していく、必要があります。

消極損害とは

「消極損害」とは、もともと得られるはずだった利益が医療過誤の発生によって利益が得られなくなったことに伴う損害を指しています。この消極損害には、下記の2つが挙げられます。

まず「休業損害」について、医療過誤が起きた場合には就労が困難になるケースも考えられます。この場合は仕事を休む必要が出てきますが、そうなると休んだ分収入が減少することになります。このように、働けない期間が発生したために得られなくなった収入を休業損害といいます。また、就労が難しくなったために有給休暇を使用した、休業によって昇給や昇格が遅れてしまった、といったケースについても休業損害が認められます。

「逸失利益」とは、医療過誤により将来得られるはずだった収入を失うことによって受ける損失です。こちらは医療過誤が起きたことで患者が後遺症を負った場合の「後遺障害逸失利益」と、患者が死亡した場合の「死亡逸失利益」があります。逸失利益を算出する場合には、医療過誤が発生する前の患者の収入や年齢、後遺症を負った場合には後遺症の等級を用いることになりますが、死亡逸失利益を算定する場合には本来かかるはずだった生活費がかからないため、生活費の部分を控除した上で算定します。

医療過誤における損害の算定方法

医療過誤が発生した場合に損害を算定する場合には、裁判所の算定基準を適用することになります。交通事故の場合、頻繁に発生することから交通事故における損害賠償額の算定基準が作成されていますが、医療過誤が発生した場合にも同じ算定基準が用いられています。

この場合には東京地方裁判所の裁判実務に基づいて、交通事故における損害賠償額の算定基準について解説されている「赤い本」を使用します。これは公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部により発行されている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」という書籍です。

ただし医療過誤の場合には、被害を受けた方がもともと既往症を持っているケースも多く見られるため、医療過誤による損害範囲を特定することは非常に難しいといえます。この点から、医療過誤における損害を算定する場合には、もともとの疾患における予後に関する統計資料の提出などを行うといったように、詳細に関して個別に検討する必要が出てくる場合もあります。

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弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
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