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医療過誤問題を解決するための方法

医療過誤の損害賠償請求といえば訴訟をイメージしやすいですが、実はほかにも解決方法があります。それは証拠調査や証拠保全、示談、調停、ADRなどです。ここではそれぞれの解決方法の特徴や注意点をまとめましたので、参考にしてください。

医療過誤(医療ミス)を解決するための方法

医療過誤(医療ミス)を解決する方法は、フェーズに沿って以下の5つに分類できます。

それぞれの役割や特徴、注意点を紹介します。

証拠調査と証拠保全

証拠調査と証拠保全は、病院側に医療ミスがあったことを立証するための証拠を収集し、その証拠を安全に確保して保全する手続きです。

最終的に損害賠償請求の裁判を起こすとしても、確たる証拠がなければ裁判を優位に進めることはできません。また、過失の立証責任は被害者側(患者側)にありますので、被害者側が自己の主張を証明するために、主体的に証拠調査・証拠保全を行う必要があります。

なお、カルテなどの診療記録は重要な証拠書類となるため、患者さんが個人で開示請求をすると、病院側に拒否されてしまうケースが少なくありません。よってこの場合は、医療訴訟に詳しい弁護士に相談をして、弁護士を通じて法に則り強制的に開示請求手続きを行うのが良いでしょう。

示談交渉

示談交渉は、当事者だけで話し合うことです。裁判によらずに、患者本人や家族と医療機関がダイレクトに交渉を行います。

示談交渉では、裁判の手続きや弁護士への依頼が不要となるため、手続きがスピーディーかつ低コストに抑えられるのが利点です。特に病院側が過失を全面的に認めている場合は、交渉がスムーズに進みます。

逆に、病院側が過失を認めようとしない場合は、交渉が難航する可能性が高いです。時間もかかりますし、費用負担も大きくなっていきます。むしろ現実にはこうしたケースのほうが多いでしょう。

調停

調停は、裁判所で当事者が話し合うことです。本質的には示談交渉と同じですが、公的機関である裁判所が話し合いの場を設けてくれることや、まとまった合意内容に法的強制力がある点などが違います。

調停では、裁判所が第三者として関与してくれる安心感はもちろん、費用が訴訟と比べて安いこと、手続きが簡単なこと、非公開で行われるためプライバシーが守られるのもメリットです。

一方、調停は双方が合意に達しなければ解決しません。どちらか一方が合意しなければ不成立となります。また、相手方が欠席をするなどして話し合いが長期化し、解決まで時間がかかってしまう可能性もあります。

医療ADR(裁判外紛争解決)

医療ADRは、裁判手続きによらない医療問題の紛争解決機関です。札幌、東京、大阪、福岡など全国各地に弁護士会が設置した窓口があり、患者・医師の双方が代理人の弁護士を選んで、お互いの弁護士を通じて話し合いを行います。

医療ADRの特徴は、簡易・低廉・柔軟性に富んでいることです。医療裁判と比べて費用と時間を抑えることができ、患者は過失に対する立証責任を負っていないため、決定的な証拠を揃えられなくても、話し合いで紛争を解決できる可能性があります。

一方、医療裁判のように法的な強制執行力がなく、証拠が十分でも相手を説得できなければ解決には至りません。そのため、証拠資料を用意する以上に、合意に向けた交渉力や歩み寄る姿勢が必要です。

損害賠償請求の裁判

損害賠償請求の裁判は、裁判所に訴訟を起こして法的な解決を図る方法です。司法権を持つ裁判所が判決を下すため、決定した内容には強制力があります。紛争に終止符を打ち、最終的かつ不可逆的な解決を得る点で、裁判ほど有効な手段はないでしょう。

ただし、裁判は示談交渉のように話し合いではなく対決の構図となるため、互いに譲らず裁判が長期化しやすいデメリットがあります。また法律の運用によって成り立つ裁判の手続きは難しく、患者が個人で対応するのは大変です。そのため弁護士に対応を依頼することになり、弁護士報酬や調査・証拠保全費用などの費用を用意しなければなりません。

時間的なことや費用面を考えると、手続きが比較的簡単な示談交渉からはじめて、調停、ADRを活用し、それでも解決しない場合に、最終手段として裁判を選択することになるでしょう。

示談の際の注意点

示談交渉は有効な解決方法の一つですが、気をつけるべき注意点もあります。

例えば、医療ミスの証拠がないまま交渉に臨んでも、望んだ結果は得にくいことです。示談交渉で病院側が解決に前向きになるのは、医療過誤に関する明らかな証拠が提出されている場合です。病院側はその証拠を見てはじめて過失を認め、患者側に歩み寄ろうとします。

十分な証拠なしでは病院側に過失を認めさせることができません。逆にいえば、示談交渉では、必要十分な証拠調査・証拠保全を行うことが重要なポイントになります。そしてそれを実現するためには、弁護士に相談するのが適切です。

なかでも医療過誤事件を得意とする弁護士に相談することで、証拠収集・証拠保全に関して経験を踏まえた的確な多くのアドバイスをもらえたり、交渉を一任できたり、弁護士を通じて協力医と連携しやすくなったりするなど、メリットが多くあります。個人でこれらの事に対応するのは大変です。

医療ミスの損害賠償請求を示談交渉で行いたいと思うなら、医療裁判に慣れている弁護士に相談するのが良いでしょう。

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弁護士法人ALG&Associates

弁護士法人ALG&Associatesは、平成17年(2005年)に、金﨑浩之弁護士によって設立された法律事務所。
東京都新宿区西新宿に本部を置き、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、福岡、バンコクなど国内外10拠点以上に事務所を展開。総勢90名以上の弁護士と200名を超えるスタッフが、医療過誤をはじめとする幅広い分野で問題や悩みを抱えるお客様をサポートしています。(数字は2023年6月調査時点)

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金﨑 浩之 弁護士
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