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この事例は、本サイトのスポンサーである弁護士法人ALG&Associatesが対応した解決事例です。
常位胎盤早期剥離を起こしてしまった妊婦さんの事例です。
妊婦さんは下腹部の強い痛みや嘔吐などの症状が出現したため、朝7時頃に医療機関を受診しました。担当したのは前年に医師免許を取得したばかりの医師で、他の医師に電話で助言を受けながらの対応となりました。ちなみにこの医師は、その時点で常位胎盤早期剥離の症例を手がけた経験がありません。
妊婦さんのお腹は非常に硬い状態になっており、医師は切迫早産(※1)の影響だと考えました。分娩監視装置の装着を試みましたが妊婦さんが仰向けになれなかったため、超音波検査を実施します。その後、赤ちゃんの心拍数が正常値を大幅に下回る高度徐脈(※2)に陥っていることがわかりました。心拍数は回復せず、医師は胎児仮死(胎児機能不全)(※3)を疑いました。
そこで相談していた別の医師が現場に到着、触診の結果、常位胎盤早期剥離を疑うお腹の硬さだと判断し、帝王切開の実施を決断します。
帝王切開で生まれてきた赤ちゃんは心停止状態で、脳性麻痺によって重い後遺障害を負ってしまいました。胎盤の検査では、遅れてきた医師の見立てどおり常位胎盤早期剥離を起こしていたことが確認されています。
常位胎盤早期剥離とは、正常な位置にある胎盤が分娩前にはがれてしまう病気です。胎盤には赤ちゃんに酸素や栄養を届ける重要な役割があるため、常位胎盤早期剥離が起こると赤ちゃんの生命にかかわります。母体にも大量出血などのリスクがあり、非常に重篤な状態だと考えられます。
その原因は明らかになっていないため、発症を予測することは困難です。発症した場合は速やかに察知し、可能な限り早く緊急帝王切開などの処置を行なう必要があります。もし下腹部の痛みや子宮収縮などの症状があれば、常位胎盤早期剥離を疑うべきだとされています。
本事例では、患者側は常位胎盤早期剥離の診断が遅れたことで帝王切開の実施も遅れたことを主張し、医療機関に損害賠償を請求しています。
裁判所の見解では、下腹部の強い痛みや嘔吐、お腹の硬さが常位胎盤早期剥離の初期症状として矛盾しないため、すぐに赤ちゃんの心拍数をモニタリングする義務があったと指摘しました。妊婦さんが仰向けになれなくても、カウントドップラー(計測器の一種)を用いることで心拍数の計測は可能であったとの指摘もありました。
さらに、赤ちゃんの心拍数が正常値を大幅に下回っていることから、他の症状と合わせて常位胎盤早期剥離を想定して緊急帝王切開を実施すべきであったとしています。
以上から、心拍数を計測しなかった過失、早期の帝王切開を行なわなかった過失は認められたものの、過失がなかったとしても赤ちゃんの脳性麻痺を防げたかどうかは不明であり、後遺障害との因果関係は認められませんでした。それを前提に、後遺障害が少しでも軽い状態で赤ちゃんが成長できる可能性を妨げたことは認められ、慰謝料及び弁護士費用として660万円の賠償が命じられています。
参照元:弁護士法人ALG&Associates公式サイト「医療過誤案件の解決事例」
https://www.avance-lg.com/customer_contents/iryou/sanka/hanrei/hanrei13/
※1:切迫早産 ※2:高度徐脈 ※3:胎児仮死(胎児機能不全) |
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