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ここでは、医療過誤における訴訟の条件について解説します。医療裁判には一定の期限が設けられているため、迅速に対応することも必要です。医療過誤の裁判では「不法行為」と「債務不履行」の2つの責任を追及できます。それぞれの期限(時効)について紹介しますので、参考にしてください。
医療過誤の訴訟では、時効の問題を確認する必要があります。刑事事件などで犯罪が行われた場合、法律が定める期間が経過すると、犯人を処罰できなくなるルールがあるのはご存じかもしれません。これを時効といいますが、同じように医療過誤にも時効があります。
ただしこの時効は、罪を問える法的責任の種類ごとに期間が異なっています。医療過誤で追及できるのは「不法行為」と「債務不履行」ですが、以下でそれぞれの時効の期間をまとめました。
医療における不法行為は、過失による医療過誤です。医師や病院の不法行為があった場合は、訴訟を起こして損害賠償を請求することができます。ただし、永久に請求できるわけではなく、期限が設けられています。
不法行為の消滅時効期間(時効が消滅するまでの期間)は、3年です。被害者が医療過誤の事実を知ってから3年が経過すると、消滅時効が成立し、損害賠償の請求ができなくなります(民法七二四条)。
また、被害者が医療過誤の事実を後になってから知った場合も、その時点で医療過誤が発生してから20年が経過していれば、損害賠償請求はできません。
医療過誤の債務不履行は、診療契約における義務違反の責任を追及するものです。不法行為と同様に訴訟を起こすことで損害賠償請求ができますが、こちらの場合も時効があります。
債務不履行の時効は10年です。損害賠償を請求できる権利が発生した日を起算日として、その時点から10年間が経過すると、消滅時効が成立し請求ができなくなります。
10年という期限は長く思えるかもしれませんが、ここでは法的責任の時効の問題だけではなく、医療過誤の立証に必要な証拠や資料の保存期間についても考慮しなければなりません。例えば、カルテの保存期間は5年となっていますが、時効消滅以前に訴訟を起こしても、カルテの保存期間が過ぎていたら、カルテの入手が困難になる事態も考えられます。
ですから、不法行為であれ債務不履行であれ、医療過誤ではスピーディーな対応が必要です。
カルテがなくても、医療過誤の訴訟を起こすことは可能です。ただし、カルテなどの診療記録は医療過誤を証明するための重要な証拠であり、これを用いて被害者側の主張を証明していくことになります。その際にカルテが用意できないというのでは、立証手段を失ってしまうことになり、裁判に勝てない可能性が高くなるでしょう。ですから、医療過誤訴訟では裁判に勝つためにカルテが必要です。
他方、個人でカルテの開示請求をしても、病院側に開示してもらえないケースもあります。その場合は、法律のプロである弁護士に相談するのが適切です。弁護士なら、法律に則って手続きを行い、“証拠保全”という形で開示・取得することができます。
医療過誤訴訟は自分で起こすことも可能ですが、現実的であるとはいえません。病院側が責任をすべて認めている場合は交渉がスムーズに進みますが、往々にしてその逆の展開になることが多いからです。
そして、病院側が不法行為や債務不履行などの法的責任を否定している場合、交渉のハードルは高くなります。それを打開して前に進めるためには、被害者側が病院側の法的な過失の有無を証明する必要があるのです。
病院側から説明や情報を引き出したり、カルテなど証拠資料を集めて保全したり、これらを用いて交渉したりと、専門的な作業をこなしていかなければなりません。
医療過誤訴訟に個人で対応するのはかなり難しいので、医療裁判に詳しい弁護士に相談して、的確なアドバイスを受けながら交渉を進めていくのが良いでしょう。
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